子供のころ、ドラクエシリーズの「街」がとても好きだった。すぎやま先生の音楽のせいも多分にあるが、あの毒を喰らった状態で命からがらフィールドから街にたどり着いたときの安心感。平和な人々の営みに癒された。
特に4のエンドールは物語の拠点でもあり、色んな素性や運命を背負った人間が自然と集まり、それぞれが皆必死に生きて賑わっているイメージだった。
私が川崎の溝の口という街が好きなのは、富裕層も労働者も、田園都市線も南武線もいっしょくたに集まっているところにある。特に南武線沿い、西口商店街の雰囲気が大好きだ。
人々の層が偏っていないというところだろうか。
川崎市の中でも都内に近く、駅前の開発は進んでいる人気の街の一つだが、武蔵小杉周辺のようなタワマン開発はまだなく、いまだに立ち飲み街は古い雑多な店が賑わっている。
溝の口住人なら名前を聞いたことがない人はいないであろう「たまい」グループ。
私はこの立ち飲み席に毎日のように寄っている。
炭火の焼き鳥は格安で旨く自宅で再現が難しいのと、会社帰りにちょっと一息つくのにぴったりなので。
ドラクエは「どんな素性の人間も、モンスターも、みな一つの世界の住人である」ことを間接的にテーマとして示してきたと思っている。ある意味「自由と多様性の許容」を物語で提示してきたと。堀井さんがどこまで意識していたかはわからないが、当時小学生だった私は無意識にそう受け取り、いまだに人生観に影響している。
壁に向かって立ちションしてるおっさんも、伝説の勇者ロトの子孫も、等しく世界を構成している。
たまいで1人で飲んでいると、様々な人の会話が聞こえてくる。意外と大企業サラリーマンの、人間関係や組織の愚痴が多いかもしれない。
でもそれがまたBGMとしてある意味心地よい。(あんまうるさいのは困るけど)
さて、ドラクエウォークの次の高難度イベントはいつだろうか。
火力インフレ、ガチャ煽りの集金システムはどうしても好きになれないが、4.5年目のスマホゲームならもう仕方ないと思いつつ、どこまであの日の「ドラクエらしさ」を感じさせてくれるか…私の興味はその一点です。
外席での立ち飲みにぴったりの季節になってきたので、知恵と勇気と多少の運と集中力で「人と人とが集まる街・溝の口たまい」で攻略したいところです。